研究教育業績集 甲斐広文先生 教員生活25周年および教授就任10周年記念
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46 なタイプのアジュバントが研究されていますが、免疫の反応を制御できるアジュバントと言うのも魅力的ですね。 アジュバントの承認には米国が非常に慎重なため(サーバリックスのアジュバントはアルミについで2番目)、開発する壁は高いですが、実用化される事が期待されます。」 2011年10 月27日 (木) エストロゲン補充療法 更年期障害や閉経後の骨粗鬆症に対してエストロゲン補充療法がある一方で、乳癌治療に抗エストロゲン薬が使われる。さらには、数年前には、エストロゲンには抗肥満効果があると報告がある。エストロゲン受容体には、ERαとERβがあるが、ERαに変異が入ったマウスは肥満になるという報告やノックアウトマウスは不妊という報告がある。ERαは骨、肝臓、筋肉、脂肪、生殖器、中枢神経系に発現しているが、どの組織に発現するERαが代謝や生殖能調節に重要であるかは不明であった.2011年10月号のCell Metabolismに報告された論文が、中枢神経系の視床下部の腹内側核と弓状核におけるERαを特異的にノックアウトすると肥満になったり、不妊になったりすることを明らかにした.このことにより抗肥満薬の新たなターゲットになりうるというが、組織選択的に作用させることは困難であろう.学部4年のイホリンのナイスプレゼンでした. 2011年10 月20日 (木) 飽和脂肪酸が糖尿病病態を引き起こすメカ 創薬生命薬科学科4年のYukiちゃんの6回目のセミナーの論文はCellの9月30日号から。飽和脂肪酸がインスリン抵抗性を引き起こし、不飽和脂肪酸が逆に治療的に働くことは知られていた。飽和脂肪酸により、JNKを活性化し、インスリンのシグナルを抑制することも知られていた。しかし、飽和脂肪酸がどのようにしてJNKを活性化するかはわかっていなかった。この研究により、炭素鎖16個以上の飽和脂肪酸が細胞内に取り込まれた後、細胞膜のマイクロドメインへのc-srcの集積を促し、c-srcが自己リン酸化により活性化されると、JNKやMLK3をリン酸化(活性化)していくことがわかった。肉食から魚食へ変えることが何よりの薬かなとより一層強く思えてきた話でした。しっかりした良いプレゼンであった。 2011年10 月20日 (木) PICT1とガン生存率 Koyama君がNature Med.8月号から論文を紹介.内容は、細胞核の核小体の中に、PICT1が存在し、正常な細胞の場合、PICT1はリボゾームタンパク質RPL11と結合しているが、PICT1を消失させると、RPL11が核小体から出て、がん抑制タンパク質p53を分解するMDM2と結合し、その機能を阻害した結果、p53の量を増加させることがわかった。また、がん患者のPICT1と生存率の関連について調べた結果、食道がんでは、PICT1が少ない患者の5年後の生存率が1.7倍になり、大腸がんでも1.3倍になることが確認された。創薬ターゲットになりうるかどうか。 2011年10 月18日 (火) 膵臓の糖転移酵素が糖尿病発症に影響する Nature Med.9月号から、Matsu-shinが紹介。高脂肪食により、血液中の遊離脂肪酸が増える。遊離脂肪酸が膵臓のβ細胞に酸化ストレスを与える。その結果、転写因子であるFOXA2とHNF1aの発現量低下、あるいは核外移行がおこる。すると、そのターゲット遺伝子であるGLUT2と糖転移酵素 (N-acetylglucosaminyl transferase: GnT-4a)の発現が低下する。GnT-4aはゴルジ体において、GLUT2にN型糖鎖修飾を行なう。糖鎖修飾されたGLUT2は細胞膜上に運ばれ、膜に存在するGalectin9と結合し、細胞膜に安定的に存在するようになる結果、β細胞において、血液中のグルコースを効率よく取り込み、インスリンの産生を促すという。膵臓β細胞特異的にGnT-4aを高発現させたマウスに高脂肪食を与えても糖尿病への進展は抑えられ,一方、GLUT2の高発現マウスでは硬化が極めて弱いことから、GnT-4aが重要であるという。これらのメカニズムは糖尿病患者のβ細胞でも重要であることを示しており、大変面白い知見である。結局は、酸化ストレスを抑える薬で良いのかということも言えるが、抗酸化薬の臨床試験は、私が調べた限り、明確な結論は出ておらず芳しくない。創薬にどう活かせるか。 2011年10 月17日 (月) 巣状分節性糸球体硬化症:FSGSの原因分子!?

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