研究教育業績集 甲斐広文先生 教員生活25周年および教授就任10周年記念
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57 ジの活性化がどうやって起こっているのだろうかを解明したのが今回の論文。NLRP3という分子が関わる複合体群が肥満時のマクロファージ活性化に重要であることがわかった。NLRP3のリガンドはセラミドであるという。ヒト肥満でカロリー制限により体重が減少した時に、脂肪組織中のNLRP3の発現量が低下しているというデータがあった。2日前の朝ゼミ論文と絡めて考えると面白い。 今朝の熊本の朝は快晴で、かつ、気温もちょうど良く、さわやかで気持ちが良い。サンフランシスコの朝のよう。今週末は、熊薬アンサンブル部の春のコンサートがある。 大阪のFukuda君から花だより。これは見事。 2011年4 月13日 (水) 新たな細菌感染防御機構 本日の朝ゼミは、Nature Medicine 3月号から。Yuki-chan(創薬生命4年生)が紹介した。Ksr1という足場タンパク質をノックアウトすると、肺における緑膿菌感染が増悪し、死亡率が顕著に高くなる。Ksr1は増殖因子の下流分子を調節するということで、腫瘍形成に関わることは知られていた。そのメカニズムは、Ksr1には通常Hsp90が結合しているが、感染が起こると、誘導されたiNOSがKsr1と結合することで、Hsp90と相互作用することでiNOS活性を増強し、NOの産生を顕著に増加させ、抗菌活性を示すという。Ksr1ノックアウトマウスは正常に成長し、細菌感染時には死亡するが、Ksr1のヘテロマウスでの結果がどうなるか情報がほしい.また、Hsp90がどの程度必要な分子なのかを証明したデータが欲しい(Hsp90阻害薬のデータはあったがKsr1との相互作用阻害であることの証明にはならない).たとえば、Hsp90が結合するKsr1の部位に変異を入れたらというデータがあるとよい。内容を良く理解したプレゼンであった。確実に力を付けてきている。 2011年4 月12日 (火) アディポネクチンの新たな作用メカ part1 本日の7時半のセミナーの話題は、代謝性疾患において重要な役割を果たすアディポネクチンの作用メカニズムを明らかにした、Nature Medicine 2011年 1月号の論文から(Kosuke 創薬生命4年生)。アディポネクチンには、受容体が2種類あり、AdipoR1, R2に作用することにより、まず、セラミダーゼを活性化することが作用本体であるというのが結論。 肝臓においては、炎症性サイトカインにより、セラミドが増え、Aktの活性化が抑制され、インスリン抵抗性が亢進しているが、アディポネクチンが受容体を介してセラミダーゼを活性化することにより、セラミドを減少させるとともに、セラミドの代謝産物であるスフィンゴシンがPDK1を介してAktを活性化して、インスリン抵抗性を改善する。 肝臓以外の組織においては、アディポネクチンによりセラミダーゼを活性化された後、スフィンゴシンが産生され、さらに、SphKを介して、S1Pが生成してくる。S1PはオートクリンでS1P受容体に作用し、細胞内のCaイオンの上昇、CAMKKの活性化を介して、AMPKを活性化するという。このAMPK活性化は、肝臓以外(膵臓β細胞、心筋など)の組織において、アポトーシスを抑制する。肝臓では、S1Pは分解が早いからではAMPKを介していないのではないかという。 セラミドはTLR4を介した抗インスリン作用を有することもわかってきている。アディポネクチンの抗炎症作用はセラミドの減少によるのではないかととも考えられている。 それぞれのターゲット組織(細胞)におけるセラミダーゼを活性化することは代謝性疾患(炎症性疾患)の予防•治療薬になりうるのだろう。我々の研究室の、最適化した微弱電流と温熱刺激(バイオメトロノーム)が細胞(膜)に対して作用し、セラミダーゼが活性化しているのであれば、今まで基礎、臨床で得られている様々な効果を説明できるかもしれない。

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